2026.3.4
【Q&A】027 患者から長時間の抗議を受けたときは・・・
Q
患者が病院スタッフの対応に腹を立てて受付で「責任者を呼べ」「土下座して謝罪しろ」などと大きな声を上げて長時間抗議を続けています。病院側はどのように対応したらよいですか。また警察に連絡しても良いですか。

A
患者であっても、病院受付で大声を出し、「土下座」や「責任者の呼び出し」を執拗に繰り返す行為は、単なる苦情の域を超えたカスタマーハラスメント(カスハラ)にあたる行為であり、病院は他の患者の安全や従業員の職場環境を守るためにも毅然とした法的対応が必要です。
☝現場での具体的な対応ステップ
1.「複数人」かつ「個室」へ誘導する
他の患者への影響を最小限にするため、診察室や相談室などの別室へ誘導します。その際、必ず2名以上のスタッフで対応し、孤立を防いでください。
2.不当な要求(土下座等)は明確に拒絶する
「土下座」を強要する行為は、刑法上の強要罪に該当する可能性があります。「当院のルールとして土下座による謝罪は行っておりません」と明確に伝え、拒絶すべきです。
3.「不退去罪」を念頭に警告・通報する
一定の時間を超えても居座り続ける場合、「これ以上の抗議は診療の妨げになるため、お引き取りください」と退去を宣告します。退去要請に応じない場合は不退去罪や威力業務妨害罪が成立しうることになります。
4.証拠の記録(録音・録画)
「言った・言わない」の争いを避けるため、やり取りを録音・録画し、詳細な経過記録を残しておくことが、後の法的措置において極めて重要です。
では、度が過ぎるカスハラに対して、警察官を呼ぶとした場合、どのタイミングで警察署に連絡したらよいのでしょうか。
警察官が動くタイミングは、基本的には「事件性(犯罪の疑い)」が生じた時点です。医療現場で警察を呼ぶべき具体的なタイミングは、主に以下の3つのケースが目安となります。
☝警察官が駆けつける具体的なタイミング
1.直接的な暴力・脅迫・器物損壊がある場合(即時)
スタッフを突き飛ばす、机を叩く、備品を壊す、あるいは「殺してやる」といった直接的かつ具体的な脅迫があった場合は、直ちに警察署へ連絡してください。
2.「お引き取りください」という要求を拒否した場合(不退去罪)
これが最も多いケースです。管理責任者(あるいは代理のスタッフ)が明確に「これ以上の診療や話し合いは困難ですので、お引き取りください」と3回程度宣告しても居座り続ける場合、刑法130条の「不退去罪」が成立する可能性があります。この段階で警察を呼べば、警察官は退去を促すために出動してくれます。
3.大声や威嚇で診療業務がストップした場合(威力業務妨害罪)
受付や待合室で大声を出し続け、他の患者様の診療に支障が出たり、スタッフが業務を行えなくなったりした場合は、「威力業務妨害罪」(刑法234条)が成立する可能性があります。このような事態が相当時間続くようであれば警察署へ連絡してください。
また通報時は「患者とトラブルになっている」だけでなく、「退去命令に従わない」「大声で業務が妨害されている」などと、具体的な犯罪類型を伝えると警察の対応がスムーズになると考えられます。
このように患者からの抗議、クレームが度が過ぎる場合は、院内での対応にも限界があり、ケースによっては警察の協力を仰がなければならない事態も想定されます。
患者に対しどのように対応したらよいのか、どのタイミングで警察の協力を求めるのか、判断が難しい場合は、弁護士法人海星事務所までご相談ください。弁護士法人海星事務所では緊急の際の対応についての助言やマニュアル作成などの支援を行っています。
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